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AI(人工知能)ー小史

人工知能(Artificial Intelligence、AI)という言葉が日常語化しています。
「AI」は人間を超えたとか、医者や弁護士といった知的職業が「AI」に奪われるとか喧しいようです。
この用語自体は、既に1950年代に生まれています。そして1968年に公開されたスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」では、宇宙船のコンピューター「HAL」が、感情や意識さえも持っているかのごとく描かれていて、さらには矛盾した任務の指令によって混乱し、乗組員の生命を奪うということまでやってのけて?います。
しかし現実は、コンピューターの性能の向上は目覚しかったにもかかわらず、それは計算能力という点において人間をはるかに超えたものの、その他の点においては、人と比べ得る知能を持つほどのものではなく、「AI」の歩みは遅々としたものでした。

転機が訪れたのは1996年に、IBMのコンピューター「Deep Blue」が、チェスのゲームで人間の世界チャンピオンを破ったあたりからです。
そして2116年に、Googleの「AlphaGo」(アルファ碁)が、世界トップレベルの囲碁棋士を破るという大きな出来事がありました。

「Deep Blue」から「AlphaGo」まで20年かかった理由は、囲碁はチェスに比べて桁違いに指し手が多く、また直感や目標などが重要であるということなどがあげられます。
さらに重要なことは「Deep Blue」が、膨大な知識のデータべ-スをもとに、ルールに従って最適解を出す、いわゆるエキスパートシステムという手法であるのに対して、「AlphaGo」は、人間の脳の仕組みに倣った「ニューラルネットワーク(神経回路網)」に基づいた「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる、ずっと進んだ手法を使っていることです。
つまり、エキスパートシステムから、ディープラーニングまでのIT技術の進歩に、これだけの年月を要したということになります。
「AlphaGo」が勝利したことによって、「AI」は一気に注目を浴びることになり、人間の知能を超えたとまでいわれるようになりました。

人のニューロン(神経細胞)は、多数のニューロンが結合し合うネットワーク構造を形成して、その結合部分であるシナプスが、一定以上の強さの信号(入力刺激)を受けると、活動電位を発生させ、他のニューロンに情報を伝達します。
ひとつの神経細胞に複数の細胞から入力したり、活動電位がおきる閾(しきい)値を変化させたりすることにより、情報の加工、処理が行われます。
実際はもう少し複雑な仕組みですが、いずれにしても個々のニューロンそれ自体は、比較的単純な作動をしていて、複数のニューロンが合わさることによって、ある状態を示しているという、いわば「パターン認識」を行っていると考えられるのです。
「AI」の「ニューラルネットワーク(神経回路網)」はこの仕組みに倣って、パターン認識によって画像や音声や、推論などを処理しています。

因みにこのことは、フォン・ノイマンのセル・オートマトンを思い起こします。
 ⇒ https://kurotsugumi.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19-1
数多くのセルから構成される格子列または面上で、各セルが近傍の状態によって、オンになったり、オフになったりするといった単純な規則によって動かすことを続けて、全体のセルの状態や結果を観察する仮想機械です。
セル・オートマトンは、「生命活動に模した、機械の自己複製」を理論化することを目的としましたが、神経細胞や免疫システムの働きや、細菌などの生物の繁殖と、大変良く似た構造であることに気付かされます。

ニューラルネットワークのもっとも単純な構造では、入力された情報は入力層のニューロン群によって処理され、別のニューロンに情報が伝達され、出力層のニューロン群が処理した結果を出力します。
複雑な処理を行うには、入力層と出力層の間に中間層を設けます。
中間層にニューロン群を配置することで、情報処理がより深くなり、確度が上がったり、汎用性が広がったりします。

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中間層を一層からもっと増やして多層にすることで、さらに「深く」思考することが可能になります。これが、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるものです。
ディープラーニングでは、従来のように人間が「特徴量」を設計しなくても、コンピューター自身が膨大なデータを読み解き、そこに隠れている規則や相関関係などの特徴を発見します。特徴量とは、問題の解決に必要な本質的な変数であったり、特定の概念を特徴づける変数です。
例えば画像であれば色、輝度、被写体の形状や大きさ、頂点の位置や配置など、「その画像に何が写っているか」を判定するために必要となるだろう要素が特徴量です。
画像などのデータを入力すると、情報が第1層からより深くへ伝達されるうちに、各層で学習が繰り返され、この過程で、画像や音声などそれぞれのデータの特徴量が自動で算出されるわけです。
例えば多くの犬の画像を入力すると、自身で画像を解析して犬の特徴量を算出します。
次に犬の画像を入力し判定させると、それが今までの画像とはだいぶ違っていても、コンピューターはそれを、犬と判断します。
人間が犬と教えなくとも、自身で犬を判断できるようになるわけです。

ということで、ニューラルネットワークを多層化したディープラーニングを行う「AI」が出来たことによって、「AlphaGo」が囲碁で人間に勝ち、多くの人の耳目を集めました。
実際に活用が広がったのは「IBM Watson」というシステムが開発されてからです。
実は「Watson」は「AlphaGo」より早く開発されていて、2011年に米国のクイズ番組「ジョパディ」に参加して、人間のクイズ王に勝ちました。
質問は話し言葉で「Watson」に入力され、それを理解して、ビッグデータを検索して推察し、回答を出すという大変難しいことに挑み勝利したのです。
その後、IBMはWatsonの実用化の開発を進め、いまでは保険、小売、教育、製造、医療など、多くの国で、多彩な業種に導入されています。

Watsonは自然言語を理解し、ビッグデータとディープラーニングによって専門知識を習得し、質問や課題に対してビッグデータを解析して推論し、最適な回答を出すという、「AI」に必要な多くの要素を持っているもかかわらず、IBMではこれを「AI」とは呼んでいないとのことです。
学習、推論、認識などで、一部の知的作業においては大変優れるものの、人間のような汎用性はなく、膨大なビッグデータを持ってはいても、ごく限られた領域のデータで、人間のように広い分野ではなく、そして感情や意識などまで含めた脳全体を再現することなど、まだとても不可能です。
つまり人の脳に匹敵するような、「人工知能」といえるほどのものは、まだ先の話ということですね..
とはいっても、既に多くの分野で、人間に代わる仕事をこなしています。ご用心を!

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整列や類推などコンピューターに苦手な作業

データを一定の規則に従って並べることを、ソート(sort 、整列)といいます。
ソートを、例えば1から順に9まで(昇順に)並べた数字を、逆に9から順に1まで(降順に)並べ替えるような演算をコンピューターにやらせるとします。
まず、左端の1を隣の2とを比較して、2の右に並べ替え、次に1と隣の3とを比較して並べ替えというような作業を、1が右端に来るまで8回、(比較)演算します。次に左端となった2を同様に隣同士と比較して右端の1の左に並べるには7回の演算が必要です。
これを順に行っていくと合計で35回の演算で、9から1まで降順に並び、終了です。

ソートの方法はいくつもあって、おそらくこの方法が最も効率が悪い方法ですが、演算を一つ一つ順に行っていく直列処理のコンピューターでは、大なり小なりこのような手順になり、実際、ハードディスクが無くメモリも足りない、ごく初期のパソコンでは、この種のソートに結構時間がかかりました。
人間ならば一瞬で昇順を見て取り、ひっくり返して降順にしてしまうことができます。
コンピューターよりも人間のほうが計算が早い時代もあったのです。

次に「類推」(analogy)です。類推は、ある事物に基づく情報を他の事物に、それらの間の何らかの類似性に基づいて推し量り、適用することです。
類推は、コンピュータの苦手とする分野です。これがコンピューターサイエンスの先駆者、ダグラス・ホフスタッターによって取り上げられたのは、文字列間の類推です。

文字列 a b c が、 a b d に変わるとすると、i j k は何に変わるでしょうか?
多くの人は「右端の文字をアルファベットの直後の文字で置き換えよ」というルールが適用されたものとしてとらえ、i j l と答えます。
次に a b c → a b d となると、k j i → ?
「右端の文字を直後の文字で置き換える」というルールを適用すると、答えは k j j となりますが、それでは、k j i の持つ、「文字が右から左の順で逆向きに並んでいる」構造が無視されます。
そこで、 a b c の右端というコンセプトが、 k j j の左端というコンセプトに「横すべり」するような力が働いて、「左端の文字を直後の文字で置き換えよ」というルールが適用されているととらえ、 l j i という解答を得ます。
もちろん解答は一つだけではなく、人によってはk j j が解だというかもしれません。
ただ一つの正解しかないのではなく、コンセプトの横すべりの滑りのよさ?や構造の強さなどの判断によって、どれだけの人がそのコンセプトを採るかという解であって、ここら辺もコンピューターに苦手なところです。

人はこの類推を、ごく日常のこととして行っています。
例えば様々な筆跡によって書かれた文字Aを文字Aとして認識し、クラシック音楽愛好家は一度も聴いたことのないバッハの曲をバッハの曲と当てられるといった類です。
類推は、生活に必要欠くべからずのものなのです。

現代のコンピューターは、性能の飛躍的向上と、コンピューターサイエンスの進展によって、苦手な作業を克服しようとしています。
直列処理であっても、並列処理をエミュレート(emulate、模倣する・真似をするという意味で、異なるハードウェアやソフトウェア環境を模倣・真似をさせる技術)することによって、例えばソートでは隣同士の数字の比較を同時に行います。
また類推アルゴリズムのプログラムによって、これをシミュレート(模擬する)するといったことです。
こういった技術の積み重ねによって、AI、人工知能への道が開かれてきました。

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アリの行動 個体の単純さと集団の複雑さ

アリやハチなど、ある種の昆虫たちが、個体としては単純で知能など持たない生物なのに、群れの集団としての行動が極めて複雑で、知性を持っているようにも見えるのは何故なのでしょうか?
群れの中心にいる女王アリといえども、ただ子供を生むだけの単純な機能を果たしているだけのようで、どうやらアリの集団には、中央処理装置がないようです。
としたら、何が全体を統括しているのでしょうか?
「メラニー・ミッチェル著、複雑系の世界」でアリの行動を分析しています。

アリの作業の中で、「食料調達」における個体と集団の行動は、次のように考えらる。
食料調達を担ったアリは、ランダムな方向に進む。
食料を見つけた個体は、道標フェロモンと呼ばれるマーカーを道筋に残しながら巣に戻る。
フェロモンの道筋に遭遇した他のアリは、それに添って進もうとする。フェロモンの濃度が高ければ高いほど、それに遭遇したアリがその道筋をたどる可能性は高くなる。
アリが食料に到達すると、すでに残されている道筋を強化しながら巣に戻る。
強化されない道筋はやがて消失する。
このようにして、様々な食料資源の位置と質に関する情報が、無数のアリによって集合的に収集され、伝達される。

アリの集団がその行動を調節するための、もう一つの手段は「作業の割り当て」にある。
働きアリが担う作業には、食糧調達、巣のメンテナンス、パトロール、廃棄物の処理の四つのタイプがある。それぞれの作業を実行する働きアリの数は、環境の変化によって変わる。
しかし他のアリに指示を出すアリなどは存在せず、また各個体は他のわずかな個体とやり取りしているに過ぎないにもかかわらず、どうして個々のアリが集団全体の環境条件に応じて、次に行うべき作業を決定できるのか?

アリは環境の中で、「何に遭遇するか」に基づいて、またそれと同時に様々な作業のうちの「ある特定の作業を遂行している他のアリに、どのくらいの割合で遭遇するか」に基づいて、作業の変更を決定している。
巣のメンテナンス作業を行っているアリが、規模が大きく質の高い食料が巣に運び込まれることに遭遇すると、自らの役割を食料調達に変更する可能性が高まる。
また運搬活動の増加によって食料を巣に運び込まなければならないという合図が何らかの方法で伝えられ、食糧調達作業を開始する可能性がさらに高くなる。
アリはアンテナで直接触れ合いながら、個体間のやり取りを行ったり、また各作業に固有なフェロモンの痕跡を認知することによって、他のアリが何を行っているかを知って、様々な集合的な振る舞いをもたらしているようだ。
以上「メラニー・ミッチェル著、複雑系の世界」より。

アリや他の生物系あるいは免疫系などの振舞い方を模倣するコンピュータープログラムが開発されています。「アリコロニー最適化アルゴリズム」は、仮想のフェロモンを分泌したり、仮想の作業変更をしたりしながら、アリをシミュレートするプログラムです。
もっと複雑に見えるアリの生態については、これからです。
例えばアリの多数の個体がそれぞれの身体を重ね合わせ、一匹のアリのみでは到底届かない大きな距離をまたいで枝から枝へと長い橋を築いて集団が移動したり、また円盤状に固まって川に浮いて流れて移動したりするようなメカニズムなど、まだよく解っていないことも多いのです。

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雪解けの福寿草やカタクリ

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雪が解けると真っ先に芽を出し、花を咲かせるのが、この「福寿草」です。
福寿とは幸福と長寿を意味しています。江戸時代から園芸種として多く育てられているそうです。花の咲く期間は比較的長いのですが、花が枯れると程なく葉も落とし、地上から姿を消します。そのため、スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれます。

同じようにスプリング・エフェメラルと呼ばれるのが「カタクリ」です。
落葉樹林によく生育し、春に落葉樹が葉をつける前の明るい林に芽を出して花を咲かせ、落葉樹が葉をつけて林が暗くなるまでには地上から姿を消します。
花も葉も姿が見られるのは福寿草より短い期間で、また葉も一枚か二枚で、これで充分な光合成をして生育出来るのかと思わせるほどです。
しかし、根(鱗茎)は年月をかけて大きくなり、昔はこの鱗茎から片栗粉を精製しました。

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太陽の光で有機物を作る光合成は、大きく2つの反応に分けられます。
光エネルギーを化学エネルギーに変換する光化学反応(明反応)と、化学エネルギーから糖を合成するカルビン回路(暗反応)です。
福寿草もカタクリも春のうちに明反応を主に行って、化学エネルギーを蓄え、そして葉を落としたあと、暗反応で根や鱗茎を発達させているのでしょうか。

ところで福寿草には強い毒性があります。誤って食べると、心臓麻痺を起こす危険があるのです。芽が出たばかりの福寿草はフキノトウと間違えて食することがあるそうです。
庭にはスイセンやマムシ草、そしてトリカブトなど毒性のある植物が沢山あるのです。

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合理的行為と理念型

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19世紀終りから20世紀にかけて活躍した、社会学者マックス・ヴェーバーは、時代の大きな問題を分析するにあたって、それまでのように単に記述するだけでなく、何らかの論理的方法が必要だと考え、「理念型」という概念を創案し、分析の重要な道具としました。

歴史的、社会的事象を認識するためには、対象を個性的に描き出すことが必要です。
そのためには、歴史的過程や関係を、論理整合的に矛盾なく結合して形成された概念との比較によって対象の個性が明らかになります。
つまり個性的事象を理解するために抽象的概念が不可欠ということになります。
抽象的概念である理念型を一度構成すると、それを使って仮説や理論の構築に必要な要素を抽出することが可能となります。
但し理念型は方法概念であり、事象の把握のために仮設された仮象的な概念である故に、理念型そのものが社会現象の本質を捉えているということは保証されていないのです。

現代においては、理念型はその意義とともに、限界も指摘されるところです。
例えば「合理性」の概念は、ヴェーバー社会学の中でも極めて重要な位置を占めていますが、不明瞭で曖昧また多義的とも批判されます。
上の図はヴェーバーが作ったものではなく、彼の行為類型に関する記述をもとに、簡略して図式化されたものですが、例えば合理的行為を取り上げると、目的合理性と価値合理性は対極に位置するものではなく、目的の背後には大体、何らかの価値が存在するのが通常の形態といえます。ヴェーバー自身も、それを自覚していて、価値合理性を説明する際、目的合理性の手段的性格を与えたりしています。
したがって、このような図式が成立するのは、目的合理性と価値合理性が明らかに対峙するような状況においてのみ有効であるという限界があります。

ヴェーバーは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をはじめとする宗教社会学論文集、「経済と社会」論文集、「職業としての政治」など多くの著作において、その中心課題に即した理念型を適用することによって課題を際立たせ、鋭い分析を可能にしたのですが、理念型は人間と社会の行為と時代の文脈に、まさしく類型概念が沿うような場面においてこそ有効な方法といえるのでしょう。
資本主義の急速な発展とその負の側面の顕在化、マルクス主義の台頭など、ヴェーバーを取り巻く時代の文脈に、理念型という類型概念が、適合したということでしょう。

人間と社会の行為を論理的に分析するための方法概念に苦闘したヴェーバーをよそに、いとも軽々と?クリアしたように見えるのが経済学です。
「合理的経済人」という概念によって、経済活動を理論化しました。
この場合の合理的とは、「消費者は効用を、生産者は利益をそれぞれ最大化するように行動する」というようなもので、その合理的行為の結果、市場は均衡し、そして資源の最適な利用が出来るというのが経済学の言わんとするところです。
合理性を極めて単純な概念に限定して、かつ現実の人間が合理的であろうが非合理的だろうが、そんなことにはお構いなく、完全競争の市場など、いくつかの単純な前提に基づいた経済的行動による数理モデルから導かれた帰結が、そのまま(証明された)理論となり、その理論によって事象が検証される逆転が起きるのです。

ヴェーバーの理念型以降、類型概念についての考察が深まったとは考え難いのは、社会と人間の行動がますます複雑化、多様化して、もはや類型概念では把握できないのか、もともと合理的という言葉自体の持つ多義性や曖昧さによるものなのか、それとも合理的経済人という単純な定義に満足してしまったのか?...

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合理的行為って何?

かって「「イデオロギーの終焉」や「歴史の終わり」などで示唆されたような「豊かな社会の実現とともに、政治的、経済的思想、そしてその発展としての歴史も終わる」という、ある意味平穏な世界の到来の予想は今いずこ。世界を分けるような対立の図式は消えたものの、数知れぬ分断と対立、そして今までの常識では理解できない予測不能な様々な社会事象や人間行動が世界中に起きています。一体、人間は何を基準に考え行動しているのか?

人間は他人の考えていることや行動を理解しようとするときに、どうしても合理的な解釈をしがちというか、そうしないと理解できない側面があります。
他人の思考や行動が何らかの合理性に沿ったものであり、また自身もそれを合理的に解釈、判断するという両者の合理性が必要なのです。
軍事戦略や経済行動に、ゲーム理論がとり入れられて久しいですが、それもゲームのプレイヤーが合理的に行動することが前提となっています。

でもこの合理的ないし合理性ですが、その中身はいったい何なのでしょうか?
日常用語でよく使われながら、その意味は曖昧です。
1890年から1920年にかけて活躍したドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、社会学に大きな業績を残した人ですが、彼は人間の社会的行動を理解するに当たって、それらをただ記述するだけでなく、そこに参加している人々の行動を「解釈」しなければならないとして、あらかじめ定められた論理的な典型をあらわす「理念型」という、一種の類型概念を作って、それによって行動を分類する方法をとりました。
そしてヴェーバーは行為についての4種類の代表的な「理念型」を提示しました。

① 目的合理的行為
「ある目的を達成するのに合理的な行為」です。
ある目的を達成するために、他者や外界の状況を予測し、その予測に基づいて目的を達成するために適切な手段を選択するような行為です。目的合理的行為の特徴は、手段と目的との間の因果関係が論理的に明確なことにあります。
② 価値合理的行為
「ある行動が持つ固有の価値への、結果を度外視した意識的な信仰による行為」です。
つまり、倫理的・美的・宗教的といった一定の価値を重視し、結果を顧慮することなく、自らが重視する価値に従って行う行為です。
③ 伝統的行為
「身についた習慣による行為」です。
習慣化した多くの日常的行為がこれにあたります。
④ 感情的行為
「行為者の直接の感情や気分による行為」のことです。

ヴェーバーは、この4類型のうち、前二者は「合理的行為」であり、後二者は「非合理的行為」であるとしたのです。また4類型はそれぞれ対立する概念で、十字の線を引いて横軸に自己目的的と手段的を、縦軸に合理性と非合理性を対置し、4類型を4つに分けられた面に配置した図で表すことができます。
この図は後のヴェーバー研究者らによって考案されたのですが、このような4分割図は、社会行動や現象を理解する上で大変便利な道具となっていて、今日多く使われています。

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特に政治学の分野では多用されて、横軸に保守と革新を、縦軸に自由と権威を配置する分割、もしくは横軸に軍事と福祉、縦軸に同盟と自立を配置する図などによって政治行動が分析されました。
ある政治的行為が、4分割の面上のどこにプロットされるかでその度合いを表します。
即ち、中立点である十字交点から遠いほど、原則的傾向が強いことを意味します。ー続く


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暗号解読の虚々実々

現在のコンピューターは、プログラムとデータを一つのメモリーに混在させた「IASマシン」と呼ばれるコンピューターのアーキテクチュアー(基本構造)を踏襲しています。
IASマシンの概念的な枠組みを考案し、設計、製作に携わったジョン・フォン・ノイマンは、その基本的なアイデアを、天才数学者アラン・チューリングが考案した仮想機械の「チューリングマシン」から得たということに前回触れました。

アラン・チューリングは、第二次大戦が始まると、母国の英国に戻り、ドイツの暗号通信の解読という難題に取り組みました。
大戦ではドイツは解読不可能といわれる暗号機を開発して、通信に使用していました。
名づけて「エニグマ暗号」です。エニグマ=enigmaとは、古代ギリシャ語を基にした西洋語で、「謎、不可解なこと」といった意味です。
このエニグマ暗号を解読するため設けられた英政府の機密プロジェクトで、チューリングは解読の中心となって、エニグマ暗号が適用されたほとんどすべての通信を解読する解読器、ボム(bombe)の開発に成功しました。
エニグマ暗号を解読したチーム及び暗号内容は「ウルトラ」と呼ばれ、英国の最高機密とされました。ウルトラは対独戦において英国の優位をもたらし、ナチス敗北の要因の一つともいわれています。

暗号を解読するということは、高度で複雑な知的作業で、それ自体が大成果なのですが、実はそれは諜報戦でのスタートに過ぎません。
実際に暗号通信を傍受し、解読した後の情報の使い方が大変重要で、これを誤れば努力が無に帰すどころか、逆に相手を有利にさえしてしまうのです。
例えば通信の内容が余り重要でないのに、逐一反応して対応すれば、相手は暗号が解読されてしまったのではないかと疑い、暗号を変えるか、もっと狡猾な場合、解読された事実を知らない顔をして、(正しいけれども)重要でない情報を流し続けて、相手には解読されたことに気づいてないと思わせたりします。
したがって解読しても、重要でない情報は無視し、解読されていないと相手には信じさせ、重要な事態でのみ解読内容を生かすことが大事になります。まさに虚々実々の世界です。

第二次大戦での諜報戦において、並ぶもののない頂点に位置したのは英国です。
エニグマ暗号通信を傍受解読して、英国は多くの重用な情報を入手していましたが、戦局を決定づけるような局面においてのみ利用し、重要度の低い情報は敢えて無視しました。
それによる多少の犠牲は覚悟して、解読の事実を隠し続けたのです。
今では「コベントリーの悲劇」として広く知られているのは、ドイツ空軍が、英コベントリー市に夜間大空襲を計画している情報を得たにもかかわらず、政府はこれを黙殺し、その結果、コベントリー市は、当時としては極めて大きな被害を受けた出来事です。
結局最後までウルトラの機密は守られ、英国はドイツに勝利することができました。

また英国は対独諜報戦で、「大欺瞞作戦」というものを展開しています。
この作戦は連合軍のヨ-ロッパ反攻での最初の上陸地点を、独軍に誤った場所を信じさせる計画のことで、実際に極めて大掛かりな偽物の基地を造り、モックアップの航空機や戦車を置き、またそこでの慌ただしい出撃準備の様子などを、独軍偵察機に、「故意に」偵察させたのです。

さらに英国内の対独二重スパイ網を通して、この偽上陸地点について、多方面から(と装った)情報をドイツに送り、信憑性を高めるという工作を行っています。
驚くことに既にこの時点で、英国諜報部門は国内に侵入していたドイツスパイをすべて捕え、この多くを対独二重スパイ(ダブルクロス)に寝返らせてしまっていました。
そして、このスパイ網を通して以前と変わらず、情報を流し続けさせていました。
しかもこの情報は重要ではないけれど正しい情報で、ドイツでは最後まで英国に送り込んだスパイ網が健在だと信じたため、欺瞞作戦で送られた偽上陸地点情報を真実と疑わなかったということです。
欺瞞作戦に対する独軍の反応や守備の状況などに関する暗号通信は、ウルトラによって解読され、独軍が偽上陸地点に集結されていることを確認して、ノルマンディー海岸に奇襲上陸したのです。

暗号解読によって入手した情報を、やたらと使わずに、戦局を決定するような局面においてのみ利用したこと、また逆に、寝返ったスパイに正しい情報を流させて、スパイ網が健在と信じさせ、最重要な場面で大ウソを送り届けたこと、などなど犠牲をいとわずに遂行するのは「言うは易し」の難事です。
使うことがないまま終わってしまい、すべてが水の泡となるリスクを負いながら、将来予測し、使うべき最善の局面を設定するという戦略的思考もさることながら、「そこまで耐えて待つ」待忍能力が必要なのです。この稀有なことが出来たのは、優れて英国特有の風土、その時代における社会的、政治的背景があったからと言われています。


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フォン・ノイマンのコンピューター続き

現代のコンピューターのアーキテクチュアを作ったジョン・フォン・ノイマンは、「非フォン・ノイマン型コンピューター」という機械の概念設計をしています。え! ノイマンが非ノイマンをってどういうこと?
その前にアラン・チューリングという英国の天才数学者と、彼が作ったチューリングマシンについてです。

第二次大戦時、ドイツは解読不可能といわれる暗号機を開発して通信に使用していました。名づけて「エニグマ暗号」です。その暗号を解読する政府の機密プロジェクトで、チューリングは解読の中心となって、エニグマ暗号が適用されたほとんどすべての通信を解読する解読器の開発に成功しました。この機械は対独戦において英国の優位をもたらし、ナチス敗北の要因の一つともいわれています。
このチューリングは大戦の3年前の1936年に、論文「計算可能数についての決定問題への応用」で、計算を数学的に議論するための単純化・理想化された仮想機械を発表しました。
この仮想機械は、

1.格子状のセルに分割され、その上に情報を書き込み、読み取り出来る無限に長いテープ
2.セルに格納された情報を読み取り、書き込む可動テープヘッド
3.次に何を行うべきかをテープに指示する一セットのルール
で構成され、そのルールとヘッドから読みとった情報の組み合わせに応じて、次の動作を実行する。
1.ヘッドは特定のセルから動作を開始し、状態を開始にセットする
2.ヘッドは現在位置のセルから情報を読み取る
3.読み取った情報とルールによって3つの項目が指定される
 A.現在位置のテープに情報を書き込む
 B.ヘッドを右か左に一つ移動するか停止する
 C.ヘッドの新しい状態を設定する
4.この動作を、機械は内部状態が停止状態になるまで反復して実行し続ける。

チューリングは、この仮想機械「チューリングマシン」によって、数学上の問題である「決定問題」を解決したのです。
さらにチューリングマシンは、現代のコンピューターの基本概念、すなわち「フォン・ノイマン型アーキテクチュア」の先駆けともなりました。
フォン・ノイマンとチューリングは、プリンストン高等研究所で親交があり、彼が設計した世界で最初のプログラム可能なコンピューターは、チューリングマシンから着想を得たといわれています。

さて、フォン・ノイマンは、それだけではなく、1940年代に「生命活動に模した、機械の自己複製」の論理を定式化しようとして、それに取り組む手段として、「セル・オートマトン(cellular automaton)」という仮想機械を考案しました。

セルはチューリングマシンのセルと同じで、オートマトンは自動人形、自動機械の意です。
数多くのセルから構成される格子列または面上で、各セルが近傍の状態によって、オンになったり、オフになったりするといった単純な規則によって動かすことを続けて、全体のセルの状態や結果を観察する機械です。セル更新ルールを見ただけでは予測不可能な極めて複雑な振る舞いを示します。

セル・オートマトンは、神経細胞の働きや細菌などの生物の繁殖をシミュレートしたり、また熱力学の法則に従う気体や液体の力学現象のシミュレーションに使われています。
交通渋滞や雪の結晶の成長、ガスなどの物質の拡散現象などさまざまな現象のモデル化にも用いられます。素粒子の相互作用を理解する方法の研究にも使われるなど、徐々に応用の範囲が広がってきました。

セル・オートマトンは、ランダムアクセスメモリー(RAM)も、中央処理装置(CPU)も持たず、各セルが並列に演算処理を実現している、いわば 「並列コンピューター」 であるといった多くの点で、フォン・ノイマン型コンピューターと異なっているので、「非フォン・ノイマン型コンピューター」と呼ばれます。
ただし、このコンピューターは、概念上のコンピューターで(ハードウェアで実装して処理を行おうとする試みも行われていますが)、実際にはフォン・ノイマン型コンピューターで、ソフトウェア(プログラム上)で、シミュレートされ実行されます。

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フォン・ノイマンのコンピューター

SF映画の名作「2001年宇宙の旅」の監督スタンリー・キュ-ブリックは、多くの話題となる映画を作りましたが、その中でも「博士の異常な愛情」という映画は、ブラックコメディの傑作です。
米ソの冷戦下、正気を失った米軍の司令官が核ミサイルの発射命令を出してしまい、その対応に米ソの指導者たちが右往左往して、最後には核戦争を絶対的に抑止することを意図して作られた「最終兵器」が点火してしまうという、シリアスな題材を、ブラックコメデイに仕立てた映画です。

映画の登場人物で中心的な存在が、大統領科学顧問の天才科学者、「ストレンジラヴ博士」です。博士は、強大な核戦力を持って対峙するソ連に対する米国の核戦略は、「起こりうるすべての事態に対処できるように準備し、たとえ核戦争になっても、採りうるオプションを用意し、さらには全面核戦争が起きたとしても、地下のシェルターで生き延びるように準備しなければならない」とする、冷戦時代の戦略思考をカリカチュアライズしたキャラクターなのです。

ストレンジラヴ博士は、車椅子に乗り、片手が義手で、強いドイツ語なまりで話し、そして興奮すると義手がナチ式の敬礼を勝手にしてしまうという強烈なキャラクターの架空人物ですが、そのモデルについて、いろいろな人達が取り沙汰されてきました。中でも有名なのが、次の二人の名前です。
一人はヘンリー・キッシンジャーです。ニクソン大統領の補佐官、国務長官を務めた政治リアリストとして知られ、また限定的核戦争を提案しました。95歳になった現在もなお隠然たる影響力を持つ人物です。
少年時代にナチスドイツから米国に逃れてきた彼のドイツ語なまりは有名です。

そしてもう一人のモデル候補は「ジョン・フォン・ノイマン」です。
ハンガリー生まれの天才の中の天才といわれる人物、フォン・ノイマンは数学、物理学、コンピューターサイエンス、経済学、生物学などの分野で重要な貢献をしたことで知られています。23歳で数学・物理学・化学で博士号を取得し、その5年後には新たに創設されたプリンストン高等研究所(IAS)に、アルバート・アインシュタインなどとともに教授職につきました。
そこでの10年の間にゲーム理論の領域を開拓し、数理経済学の論文を発表し、そして世界で最初のプログラム可能なコンピューターの一つ、EDVACの概念的な枠組みを設計し、さらにマンハッタン計画に関わり、長崎型原爆の設計に不可欠な計算で重要な役割を果たしたといわれています。
そして戦後は政府の核ミサイルの専門的アドバイザーとして、ソ連への先制核攻撃を主張しました。また核開発の再に放射線に曝されたことでガンにかかり、晩年は車椅子に乗っていて、これもストレンジラヴ博士にふさわしい経歴の持ち主です。

前置きが長くなりましたが、フォン・ノイマンは、EDVACの概念的な枠組みを設計した後、さらにその改良後継機の設計・開発を行いました。「IASマシン」と呼ばれるそのコンピューターは、プログラムとデータをひとつのメモリに混在させることを意図したほぼ最初の設計で、1951年に稼動しています。
因みにIASマシンは2300本の「真空管」で構成されています。
IASマシンの設計概念は公開され、世界中で同じ概念のコンピューターが開発されました。
現在、世界のコンピューターは、「フォン・ノイマン型」と呼ばれ、スーパーコンピューターからパソコン、そしてスマホ搭載のコンピューターまで「フォン・ノイマン型アーキテクチュア」が基本になっています。

フォン・ノイマン型アーキテクチュアは、プログラムの命令とデータの両方が配置されるランダムアクセスメモリー(RAM)と、メモリー上の命令とデータを取り出し、データをもとに命令を実行する中央処理装置(CPU)によって構成されています。
プログラムは通常、BASICやC言語、JAVAなどの高級言語と呼ばれるプログラム言語によって記述され、それが翻訳プログラム(コンパイラー)によって、コンピューターが処理することの出来る「0と1」のビット列の機械語に変換されます。
そして命令を表すビット列は、単純な論理演算に翻訳され、CPUによって計算が逐次処理で実行されます。どのような計算も、わずかな種類の論理演算を組み合わせることによって実行することが出来ます。
現在のコンピューターは、1秒間に数億回の命令(計算)を実行することが出来ます。

ということで現代のコンピューターは、ほとんどすべてが、フォン・ノイマン型アーキテクチュアに依拠していますが、全く違うコンピューターもあります。それについては、―続き―で...
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窒素固定とシアノバクテリア

生物ポンプに続いて窒素固定なんて訳のわからない言葉が続きますが、ともに地球生態系の循環システムにおける大事な機能なのです。

生物の体を構成する主な元素は炭素、水素、酸素ですが、ほかに窒素、燐、カリウム等の元素も重要です。植物に与えられる肥料が、この三つなのは良く知られています。
この中で窒素の摂取については、他と変わった特徴があります。
窒素分子N2は、大気の3/4を占めていますが、大変、不活性で安定した元素です。
ほとんどの生物はアンモニア等の化合物にならないと、窒素を体内に取り込むことができません。ではどうやって窒素化合物が作られるのか?

窒素を、反応性の高いアンモニアなどの窒素化合物に変換するプロセスを、「窒素固定」といいます。
窒素固定は、自然界では、シアノバクテリア(藍色細菌)や、ある種の細菌などの微生物によって行われています。この窒素固定によって、生物は窒素を体内に摂取できるのです。
これらの微生物には、他の植物や動物(シロアリなど)と共生関係を形成しているものもあります。マメ科植物と共生する根瘤菌は有名ですね。根瘤菌のおかげで、マメ科植物は荒れた土地でも、窒素補給が上手くできるわけです。
また窒素固定は、雷の放電や紫外線により、大気中の窒素が酸化され、これらが雨水に溶けることで、土壌に固定されてもいます。しかし、生物にとって恒常的に窒素化合物は不足気味なのです。大気中には窒素が山ほどあるのにねえ。

ところで、地球上に27億年前に登場したと見られるシアノバクテリア(藍色細菌)は、約20億年ともいわれる長~い間繁栄した生物です。
シアノバクテリア細菌は、窒素固定の代謝能力を持ち、大量の窒素化合物を供給しましたが、さらに大きな仕事をしました。光合成を行い、地球の大気に酸素を供給して、現在の大気組成にした主役が、この細菌なのです。
さらには海水中に放出された酸素は、海水中に含まれていた還元鉄を酸化鉄に変え、海底に沈殿させました。またシアノバクテリアが作った構造物であるストロマトライト(炭酸カルシウム)は、石灰岩となって堆積しました。
シアノバクテリアは、地球に酸素をもたらした以外に、窒素固定を行い、酸化鉄鉱床を作り、そして石灰岩を作ったのです。人類が重要な資源としている、鉄、そしてセメントは細菌がもたらしたのです。恐るべし、シアノバクテリア...

シアノバクテリアが支配していた長い間、動物は存在せず、生物の活動は「同化の一方向的過程」で、したがって、物質は循環しなかったといえます。
そのおかげで、現在の地球の生命が存在し、さらにはその廃棄物を人類が貴重な資源として利用しているというのも、随分と皮肉な話です。
そして、現在の安定した循環する生態系の歴史は、そんなに長いものではなく、地球の歴史から見れば、極く短い時間のものということができるのです。

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