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光合成と生態系2

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同化・「左⇒右」の反応と、異化・「右⇒左」の反応は、両辺の物質を見る限り、まったく逆の反応になっていて、かつ物質は循環しているといいましたが、実際は完全な循環にはなっていません。
同化を行うのに必要なエネルギーは、光合成を中心とした同化で作られた有機物の一部を異化することによって調達するのですから、「左⇒右」への反応のほうが、はるかに大きい訳です。
光合成生物すなわち植物は、環境から「二酸化炭素と水」を摂取して自らを作り、そして環境へ「酸素」を排出するという、見かけ上は「左から右への一方向的な過程」となります。

この過程が大々的に行われたのが、今から27億年前に登場した藍藻(シアノバクテリア)という藻類による光合成です。
藍藻は現在の植物とほぼ同等の、複雑で巧妙な光合成能力を持ち、地球上で支配的な生物となりました。そして長い年月の間に、地球の大気中の二酸化炭素を、ほとんど酸素に変えるという大業を成し遂げてしまったのです。今日の地球の大気の組成は、この藍藻の仕業といわれています。
地球上の食料(二酸化炭素)を食べ尽くし、廃棄物(酸素)で満たしてしまった訳ですから、最初の大規模な環境汚染ということにもなります。

ここで登場するのが、光合成生物を食料とする生物の登場です。
光合成を中心とする同化で作られた有機物を食して自らを作り、また有機物を分解してエネルギーを得る生物、すなわち動物です。
動物は同化の大部分を自らは行わず植物に委ね、出来上がった有機物を摂取して自らを作り、またそれを異化することによって活動エネルギーを得るということで、見かけ上は環境から「酸素」を取り入れ、有機物と反応させて、環境へ「二酸化炭素と水」を排出するという、「右から左への一方向的な過程」となります。

この両方の過程の大きさが、同じになれば「循環」が成立します。
光合成生物と、それを食する生物との間での、無機物質と有機物質の相互変換による循環です。
循環は「資源の枯渇」と「廃棄物による環境汚染」という、生物にとっての大問題を解決します。
資源を消費して廃棄物を放出する片方向的過程が、廃棄物を資源として利用し、そしてその廃棄物がまた資源になるという双方向的過程になり、生物は資源の枯渇と廃棄物の堆積という圧力から開放されます。生態系は循環を成立させることによって、安定と継続を得ることが出来たのです。

かくして循環する「生態系」が成立します。
生態系の「生態」は、サラリーマンの生態なんて意味で使われたりしますが、英語のEcologyでは、生物種間やそれを取り巻く環境との間の相互作用を扱う学、生態学のことです。
また「系」(System)という言葉には、物理学での閉鎖系、開放系といった、外界から独立した一定の空間を意味したり、また複雑系のように、相互に関係する要素から構成されるまとまりや仕組みを意味したりします。また日本ではビジュアル系とかオネエ系、はたまた草食系、肉食系とかいった、ある範囲やグループ分けの意味で使われたりもしますね...

生態系での「系」は、複雑系のように相互間の機能に着目します。
すなわち、「生態系」の概念は、「一定の地域の生物種間やそれを取り巻く環境との相互関係が(特に物質循環とエネルギーの流れに)、一定の仕組みと機能を持ったまとまり」ということになります。

近年、生態系という言葉自体は一般化しましたが、生態系に何か実体があるように捉えたり、或いは統一的生命体とかいった、感覚的、情緒的に捉える傾向があるようです。
生態系が危機にさらされている状況への警告、啓蒙的な意味が込められるのも悪くはないのですが、あらたまって生態系を考えた時、ハテナ?とならないように...

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生態系を表わした模式図です。少々ややこしい図ですが、これでも単純化されています。
光合成により有機物質を生産する植物などの「生産者」、植物を食料とする動物などの「消費者」、そして有機物質を最後に摂取する微生物などの「分解者」によって有機物質が、水と大気を媒介して、無機物質と相互に変換され、循環します。
図では有機物質の主な構成要素である炭素の循環を描いていますが、炭素の他に窒素やリンなどの物質も循環しています。これらの物質の循環は、分解者が無機物を生産者に渡すという矢印で示されていますが、実際は複雑で興味深い過程を経ています。

生態系の循環は、外部から物質を摂取したり、また外部に廃棄物を排出したりせずに、自己完結的に、「閉じた系」の中で物質がやり取りされます。
すなわち物質については「閉鎖系」ということになります。

また、エネルギーについては、宇宙から来たエネルギーは、光合成などの「同化」によって、化学エネルギーになり、そして「異化」によって、最終的には熱エネルギーとなって、宇宙に放出されます。
すなわちエネルギーに関しては「開放系」なのです。
エネルギーは循環することが出来ず、利用するにつれて、純度が減り、すなわちエントロピーが増大し、利用が出来なくなります。そしてその捨て場がないと、系は最後は「熱平衡」、すなわち熱死に至ります。宇宙に放射できる開放系が、エネルギー利用の必要条件なのです。

ということで生命と物質の循環は「閉鎖系」の中で、そしてエネルギーの流れは「開放系」で、地球生態系は成立しているのです。

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