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進化と進歩はどう違う?

「進歩」という言葉の代わりに、「進化」が使われるのが普通になっているようです。
「進化」には「進歩」の意味を持つと同時に、環境や時代に適応したというような価値判断があるからでしょうか。より高度に、複雑に、なんていうことまで含意しているような?
でも本来、「進化」は生物学で使われる用語で、「変化」の意味であって、「進む」というような方向性はありません。英語evolutionを日本語に翻訳するときに、進化という語が作られて、「進む」という意味合いを持ってしまったのですね。
英語では進歩はprogressとかadvance、進化はevolutionで、紛らわしくはありません。

ところが、evolutionは生物学の用語であると同時に、日常語としても、展開、発展、進展、といった意味で使われています。
また生物学用語としても変化していて、初めは生物学の一部門である発生学で、evolutionは 「受精卵から展開して成体が作られること」を意味しています。
発生学とは「胚の発生を研究する学問」です。「胚」とは動物では誕生や孵化の前の段階をいい、植物では発芽の段階にある全ての組織のことです。

さらにその後、生物学では個体の発生と生物の進化との類似性が注目され、「進化はある一定の方向に発展する」と考えられました。
それを表すのに適切な語として、evolution を使うようになったのです。つまり当初(ダーウィン以前)の進化論では、evolutionは発展という意味を持っていたのです。

しかしダーウィンは著書「種の起原」では、初版ではevolution という語は使っていませんでした。
進化を指す言葉としては、「descent with modification(変化を伴なう系統)」を使ったのです。
ダーウィンは自己の進化論が、発展理論に基づく以前の進化論と異なることを明確にするために、evolution の語を使わなかったのです。後になって結局使ったのですが...
ダーウィンは、進化の要因として「個体変異の遺伝と自然淘汰」を考え、生物の進化は偶然が作用する現象と考えました。彼は生物の進化が、「単純な生物から複雑な生物へと変化するという方向性」を持っているとは考えなかったのです。つまり、ダーウィンによれば、evolution は生物の進化を指す用語としては(少なくとも初めは)、適切ではなかったといえます。

ということで、もともと evolutionが進歩、発展といった方向性を持つ意味を含んでいたわけで、日本でこの語を訳するに当たって、進化という言葉を作ったのは、あながち間違いではなかったのかもしれないし、今日に至って進歩に取って代わったのも、必然の成り行きなのかもしれません。
英米でevolution が progress とかadvance に代わって使われることが多くなっているのか、興味あるところです。

とはいっても生物学では、進化を進歩と同一視するのは、やはりまずいのです。
生物進化が進歩に見えたとしても、また逆に退歩に見えたとしても、どちらにせよダーウィンから始まって、現代の進化学説にi至るまで、何らかの方向性を持ってはいないのです。
でも進化の語が全く日常語になってしまった以上は、進化を使うのはやめて、例えば変成とか変異とかいった言葉を使ったほうが良いのかも知れません。あ、これらは生物学ですでに使われています。ダーウィンが当初使った「descent with modification(変化を伴なう系統)」に戻る?

付け足しになっちゃいましたが、進化とは、ごく簡単にいって「生物が世代を経る中で、その遺伝的形質が変化していく現象」というようなことです。
そして「変異や自然適応、種の分化といった進化のメカニズムによって、ヒトも含めた地球上のすべての生物が生まれてきたことを説明する諸理論の集合」が、現在の進化論、もしくは進化学説です。

遺伝子と分子生物学 ⇒ http://kurotsugumi.blog.so-net.ne.jp/2014-03-14

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