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人工知能(AI)はどこまで進んだ?

人工知能(Artificial Intelligence、AI)という言葉がよく使わています。
「AI」は人間を超えたとか、医者や弁護士といった知的職業が「AI」に奪われるとか喧しいようです。
この用語自体は、既に1950年代に生まれています。そして1968年に公開されたスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」では、宇宙船のコンピューター「HAL」が、感情や意識さえも持っているかのごとく描かれていて、さらには矛盾した任務の指令によって混乱し、乗組員の生命を奪うということまでやってのけて?います。
しかし現実は、コンピューターの性能の向上は目覚しかったにもかかわらず、それは計算能力という点において人間をはるかに超えたものの、その他の点においては、人と比べ得る知能を持つほどのものではなく、「AI」の歩みは遅々としたものでした。

転機が訪れたのは1996年に、IBMのコンピューター「Deep Blue」が、チェスのゲームで人間の世界チャンピオンを破ったあたりからです。そして2116年に、Googleの「AlphaGo」(アルファ碁)が、世界トップレベルの囲碁棋士を破るという大きな出来事がありました。
「Deep Blue」から「AlphaGo」まで20年かかった理由は、囲碁はチェスに比べて桁違いに指し手が多く、また直感や目標などが重要であるということなどと、「Deep Blue」が、膨大な知識のデータべ-スをもとに、ルールに従って最適解を出す、いわゆるエキスパートシステムという手法であるのに対して、「AlphaGo」は、人間の脳の仕組みに倣った「ニューラルネットワーク(神経回路網)」に基づいた「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる、ずっと進んだ手法を使っていることによります。
「AlphaGo」が勝利したことによって、「AI」は一気に注目を浴びることになり、人間の知能を超えたとまでいわれるようになりました。

人のニューロン(神経細胞)は、多数のニューロンが結合し合うネットワーク構造を形成して、その結合部分であるシナプスが、一定以上の強さの信号(入力刺激)を受けると、活動電位を発生させ、他のニューロンに情報を伝達します。ひとつの神経細胞に複数の細胞から入力したり、活動電位がおきる閾(しきい)値を変化させたりすることにより、情報の加工、処理が行われます。
実際はもう少し複雑な仕組みですが、いずれにしても個々のニューロンそれ自体は、比較的単純な作動をしていて、複数のニューロンが合わさることによって、ある状態を示しているという、いわば「パターン認識」を行っていると考えられるのです。
「AI」の「ニューラルネットワーク(神経回路網)」はこの仕組みに倣って、パターン認識によって画像や音声や、推論などを処理しています。

因みにこのことは、フォン・ノイマンのセル・オートマトンを思い起こします。
数多くのセルから構成される格子列または面上で、各セルが近傍の状態によって、オンになったり、オフになったりするといった単純な規則によって動かすことを続けて、全体のセルの状態や結果を観察する仮想機械です。セル・オートマトンは、「生命活動に模した、機械の自己複製」を理論化することを目的としましたが、神経細胞や免疫システムの働きや細菌などの生物の繁殖と大変良く似た構造であることに気付かされます。

ニューラルネットワークのもっとも単純な構造では、入力された情報は入力層のニューロン群によって処理され、別のニューロンに情報が伝達され、出力層のニューロン群が処理した結果を出力します。
複雑な処理を行うには、入力層と出力層の間に中間層を設けます。中間層にニューロン群を配置することで、情報処理がより深くなり、確度が上がったり、汎用性が広がったりします。

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中間層を一層からもっと増やして多層にすることで、さらに「深く」思考することが可能になります。
これが、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるものです。
ディープラーニングでは、従来のように人間が「特徴量」を設計しなくても、コンピューター自身が膨大なデータを読み解き、そこに隠れている規則や相関関係などの特徴を発見します。

特徴量とは、問題の解決に必要な本質的な変数であったり、特定の概念を特徴づける変数です。
例えば画像であれば色、輝度、被写体の形状や大きさ、頂点の位置や配置など、「その画像に何が写っているか」を判定するために必要となるだろう要素が特徴量です。
画像などのデータを入力すると、情報が第1層からより深くへ伝達されるうちに、各層で学習が繰り返され、この過程で、画像や音声などそれぞれのデータの特徴量が自動で算出されるわけです。
例えば多くの犬の画像を入力すると、自身で画像を解析して犬の特徴量を算出します。
次に犬の画像を入力し判定させると、それが今までの画像とはだいぶ違っていても、コンピューターはそれを、犬と判断します。人間が犬と教えなくとも、自身で犬を判断できるようになるわけです。

ということで、ニューラルネットワークを多層化したディープラーニングを行う「AI」が出来たことによって、「AlphaGo」が囲碁で人間に勝ち、多くの人の耳目を集めました。
現在、実際に活用が広がっているのは「IBM Watson」というシステムです。
実は「Watson」は「AlphaGo」より早く開発されていて、2011年に米国のクイズ番組「ジョパディ」に参加して、人間のクイズ王に勝ちました。
質問は話し言葉で「Watson」に入力され、それを理解して、ビッグデータを検索して推察し、回答を出すという大変難しいことに挑み勝利したのです。
その後、IBMはWatsonの実用化の開発を進め、いまでは保険、小売、教育、製造、医療など、50か国、25以上の業種で導入されています。

Watsonは自然言語を理解し、ビッグデータとディープラーニングによって専門知識を習得し、質問や課題に対してビッグデータを解析して推論し、最適な回答を出すという、「AI」に必要な多くの要素を持っているもかかわらず、IBMではこれを「AI」とは呼んでいないとのことです。
学習、推論、認識などで、一部の知的作業においては大変優れるものの、人間のような汎用性はなく、膨大なビッグデータを持ってはいても、ごく限られた領域のデータで、人間のように広い分野ではなく、そして感情や意識などまで含めた脳全体を再現することなど、まだとても不可能です。
つまり人の脳に匹敵するような、「人工知能」といえるほどのものは、まだ先の話ということですね..
とはいっても、既に多くの分野で、人間に代わる仕事をこなしています。ご用心を!


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