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アリの行動―個体の単純さと集団の複雑さ

アリやハチなど、ある種の昆虫たちが、個体としては単純で知能など持たない生物なのに、群れの集団としての行動が極めて複雑で、知性を持っているようにも見えるのは何故なのでしょうか?
群れの中心にいる女王アリといえども、ただ子供を生むだけの単純な機能を果たしているだけのようです。アリの集団が中央処理装置を持っていないとしたら、何が全体を統括しているのでしょうか?

アリの作業の中で、「食料調達」における個体と集団の行動は、次のように考えらる。
食料調達を担ったアリは、ランダムな方向に進む。食料を見つけた個体は、道標フェロモンと呼ばれるマーカーを道筋に残しながら巣に戻る。フェロモンの道筋に遭遇した他のアリは、それに添って進もうとする。フェロモンの濃度が高ければ高いほど、それに遭遇したアリがその道筋をたどる可能性は高くなる。アリが食料に到達すると、すでに残されている道筋を強化しながら巣に戻る。
強化されない道筋はやがて消失する。このようにして、様々な食料資源の位置と質に関する情報が、無数のアリによって集合的に収集され、伝達される。

アリの集団がその振る舞いを調節するための、もう一つの手段は「作業の割り当て」にある。
働きアリが担う作業には、食糧調達、巣のメンテナンス、パトロール、廃棄物の処理の四つのタイプがある。それぞれの作業を実行する働きアリの数は、環境の変化によって変わる。
しかし他のアリに指示を出すアリなどは存在せず、また各個体は他のわずかな個体とやり取りしているに過ぎないにもかかわらず、どうして個々のアリが集団全体の環境条件に応じて、次に行うべき作業を決定できるのか?

アリは環境の中で、「何に遭遇するか」に基づいて、またそれと同時に様々な作業のうちの「ある特定の作業を遂行している他のアリに、どのくらいの割合で遭遇するか」に基づいて、作業の変更を決定している。巣のメンテナンス作業を行っているアリが、規模が大きく質の高い食料が巣に運び込まれることに遭遇すると、自らの役割を食料調達に変更する可能性が高まる。
また運搬活動の増加によって食料を巣に運び込まなければならないという合図が何らかの方法で伝えられ、食糧調達作業を開始する可能性がさらに高くなる。
アリはアンテナで直接触れ合いながら、個体間のやり取りを行ったり、また各作業に固有なフェロモンの痕跡を認知することによって、他のアリが何を行っているかを知って、様々な集合的な振る舞いをもたらしているようだ。 以上、「メラニー・ミッチェル著、複雑系の世界」より

アリや他の生物系あるいは免疫系などの振舞い方を模倣するコンピュータープログラムが開発されています。「アリコロニー最適化アルゴリズム」は、仮想のフェロモンを分泌したり、仮想の作業変更をしたりしながら、アリをシミュレートするプログラムです。
もっと複雑に見えるアリの生態については、これからです。
例えばアリの多数の個体がそれぞれの身体を重ね合わせ、一匹のアリのみでは到底届かない大きな距離をまたいで枝から枝へと長い橋を築いて集団が移動したり、また円盤状に固まって川に浮いて流れて移動したりするようなメカニズムなど、まだよく解っていないことも多いのです。

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