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送電網と繋がる蓄電池

原発の停止による電力不足への対処として、自然エネルギーなど、分散発電が、クローズアップされていますが、このさい、電力会社の独占体制も絶とうとして、発電と送電の分離が出てきました。
出るべくして出てきた感じですが、少々安直です。

発・送電の分離は、送電網が脆弱であるとか、需要地から遠い僻地に風力発電を作ったけど、送電線がないから、新規資本を導入したいとか、電力会社に供給調整能力がないからとか、はたまた国を超えて送電したいからとか、いう様々な理由があります。
いずれも日本では、ちょっと当てはまらぬ話。それぞれの事情も省みず、ただ単に「欧米では、既に実施されている」という論拠も、あまりに貧弱です。

また分散発電を送電網に接続するのも、現在のやり方で特に問題ないし。自然エネルギー以外は、接続できないという現状も、接続できるように、強制{法制化}すれば済む話でしょう。
送電網の脆弱性は、東西の分断を除けば、当面は問題ないでしょうし。
どうしても、電力会社から、送電線を、もぎ取りたいという話なら別ですけど。
でも、ただ憎し!という理由だけではねえ。

実は、発・送電分離論のキモは、「電力自由化」と名打った配電(売電)の自由化にあるようです。
需要者に、発電者が自由な価格で電力を売れ、また需要者も、好きな電力会社を選べるというところ。いかにも経済通あたりが好みそうな「自由競争」の登場です。

発電方式が、いろいろあっても、電気は電気。
電線を流れてくる電気に違いがない(ある)じゃあなし、(解けて)流れりゃ、皆同じ...
という訳で、「安い電気」を需要者が選ぶのは自然の成り行き。最も安い石炭火力発電に、需要が集中しちゃって、温暖化ガス削減はどうなるの?高価な自然エネルギーなんて誰が選ぶのさ?

現在は太陽光発電など、高い価格で電力会社に買い取らせていますが、(最終的に、全需要者が平均して負担ということです。)それもできなくなるので、政府の補助金ということになります。
補助金頼みの「自由競争」なんて...
電力の販売の自由化の、もうひとつの問題は電力の需給の不安定化。
ただでさえ、自然エネルギーは不安定なのに、末端での価格と需要の不安定化が、これに追い討ちをかけます。

ということで、発送電分離はメリットなしと言いたいところですが、ここで、スマートグリッド(賢い電力網)の登場です。
「スマートグリッド」、文字どうりの意味は「賢い格子」といった具合ですが、商用電力の需給を自動制御し、また太陽光発電などの新エネルギーを、商用電力にスムースに取り組むことを目的にしています。「賢い電力網」ということですね。
その構成は、発電量の制御、送電網の制御、そして消費者の使用電力の制御の3つからなっています。
注目されるのは消費者使用電力の制御で、電力供給が追いつかない場合、消費者への供給を制御し、需給調整するもので、消費者側からすれば、迷惑な話かもしれません。これは「スマートメーター」なるもので制御するのだそうです。
スマートグリッドは、アメリカなどでは、不安定化した電力需給の安定化が第一の目的です。
脆弱な送電網に由来する停電の多発に対処することが、重要課題となったのです。
発・送電の分離による送電業への新規参入、発電業への新規参入、そして発電業者を需要者が選択できる自由化、などが、需給の安定に功を奏さなかったという事情も見えてきます。

スマートグリッドは、需給の一致が、目的ですから、供給が過剰の場合、供給をカットします。逆に、需要が過剰の場合、需要をカットする必要があります。各需要者に個別に設置された、スマートメーターという装置が、電気の供給を、強制的にカットするという機能まで視野に入っています。
つまり、スマートグリッドは、「制御」がその機能なのです。制御が行き過て、戦時の統制みたいになると、まずいことになります。「スマートコントロール」は、賢い制御でないといけないのです。
「協調の制御」というような感じかもしれません。

で、日本では、供給者(電力会社)が、変動する需要に応じるように、ひたすら供給を調整してきました。その調整能力から、日本ではスマートグリッドは、すでに行われている、ともいわれたわけです。しかし原発停止によって、「供給不足」という事態に至りました。初めて、需要をカットする必要が出たわけです。
もう既に需要のカットは、始まっていますが、これは、「賢い需要者」による節電ですね。企業なんかは半ば脅されて節電せざるを得ませんけど。
ともかくも、今後、長く続く供給不足(需要過剰ということもできます)を考えれば、「スマートグリッド」の機能強化といえる「スマートメーター」の必要性が高まってきました。
米国とは違う事情ながらの、日本版スマートグリッドです。

発・送電を分離するということは、このスマートグリッドの機能を、電力会社から分離することを意味します。
分離は、誰が「賢い送電網」を「制御」するのか、という重要な問題をもたらします。
前出のように、スマートグリッドは、「制御」がその機能であり、その制御は参加するすべての人、組織にとって、公正に作用するものでなければなりません。多分に、パブリック、公共的な性格を持ちます。つまり、これを営利目的と考えると、ちょっと具合の悪いことになります。

ここまで見据えた上で、発・送電の分離を言うのなら、話は変わってくるかもしれませんが、ただ電力会社の力をそぎたいとか、発電や送電に新規参入を促したいとか、はたまた電力の販売を自由化したいとか、というのがその理由なら、それは短慮といわざるを得ません。よくよく考慮しないと。

スマートグリッドは、まだその概念ばかりで、実体が見えていません。
いずれにしても、さまざまな技術と設備機器が必要な高度なシステムです。
電力販売の自由化などと、おかしなことを考えずとも、ビジネスチャンスは十分あるはずです。


電池とよばれているのに、発電装置だったりするのに対して、発電と呼ばれているものが、実質的には電池なのが「揚水発電」です。今夏の電力不足の折、電力会社が揚水発電の発電能力を、過少に報告していると問題になった、あれです。
モーターで水を汲み上げ、そしてその水を落とし、発電水車を回して発電するという、文字どうりのマッチポンプです。(マッチポンプなんてお解り?)
理論上は高い効率なのですが、実際は70%程度の効率のようです。30%目減りする蓄電池というわけです。
これを使って夜間に水を汲み上げておいて、日中の需要ピークに水を落とし発電します。
電力重要の変動に、なくてはならないものといえますが、これは夜も止められない原発の電気を使う苦肉の策なのは今回、知れ渡りましたね。原発には必ず、巨大な揚水発電所がセットになっているわけです。
誤解されるのは、原発が停止したからといって、揚水発電所が停止するわけではないということです。火力発電でも何でも、電気があれば水の汲み上げはできるので、依然、電力需給の平滑化に使えるわけです。

さて、スマートグリッド(賢い送電網)の図解などを見ますと、多数の発電施設が分散していて、それらが電力線および、デジタル回線でつながれている絵がお馴染みですが、そこに必ず描かれているのが、蓄電装置です。
多数の蓄電池を配置して、電力需要の波を吸収する目的です。再生可能エネルギーの不安定さに対処するため、どうしても必要なものです。
問題は、どんな蓄電池を置くかということですが、現在のリチューム型やそれに類する蓄電池では、明らかに容量不足。家庭用の蓄電池に加えて、電気自動車の蓄電池つないでも...
将来の容量増加と価格低下に期待するといってもねえ。今のところ、「住宅1000万戸の屋根に太陽光発電」という以上に非現実的なのが、この種の電池の同様の数の設置でしょう。

となると、揚水発電施設を使うしかないのかもしれません。何しろ、通常の水力発電よりも大きな発電量です。
ただ、分散型ではないし、小回り利かないだろうし、特に、発電効率の悪さがねえ。
効率など関係ない原子力発電と違って、たとえ、効率60%のガス化複合発電で発電しても、揚水発電に「貯める」と、エネルギー効率は42%に落ちてしまいます。
控えめに言っても、スマートとはいえないのです。こんなところが、スマートグリッドのネックとなってしまっては、まずいのですが...

電気エネルギーの利用は進む一方で、その傾向は将来も続くと考えられます。
良いことだらけのように見える電気エネルギーにも弱点はあって、人間が使える形では自然には存在せず、他のエネルギーから変換する必要があること、その変換効率が一般的に悪いこと、そして貯蔵することが難しいことなどがあります。
他の弱点はさておいて、貯蔵の問題は金属などの導電物質を使って遠方まで送ることが出来るという長所を利用して、電気エネルギーに変換したら直ちに運んで使う、つまり発電所から電線を通して使用場所まで繋ぐことで、電気エネルギーは広く使われるようになりました。
自動車や飛行機など電線を繫げず、またエネルギーを多く使うものは、石油などの化石燃料が動力として使われています。

どうしても電気が必要だけど、電線を繫げない、もしくは繋ぐと著しく使いづらいものは、腕時計から、音楽プレーヤー、携帯、ノートPCなどなど、持ち運んで使う機器を中心に増加の一途です。
それらの電源は以前は乾電池でしたが、今では蓄電池が主流になっています。乾電池が依然たくさん売られているのが不思議なくらいです。
そして蓄電池性能の向上にしたがい、以前は電気コードが繋がっていた掃除機や、また多くの電動工具がコードレス、即ち蓄電池タイプになりました。
こういった小型の機器に蓄電池が広まる一方、自動車でも電気自動車やハイブリッド自動車では、蓄電池が多く必要になり、蓄電池の需要は高まる一方です。

で、これらすべては送電網から電線が繋がらないということが特徴ですが、いま脚光を浴びているのは、「送電網と繋がった蓄電池」です。
発端は太陽光発電です。家庭用の太陽光発電が急速に普及しましたが、蓄電池を設置することで、電力需要の少ない時に発電した電力は蓄電池に貯めておいて、需要ピーク時には太陽光発電と蓄電池の電力を、送電網に供給するといった賢い使い方が出来ます。
もっともいまのところ、夜間に電力会社の安価な電気を貯めておいて、昼間に自家で使い、太陽光で発電した電気は全量を電力会社に高く売るという、行儀の悪い使い方が多そうですが...
住宅用蓄電池は、ハウスメーカーが新築住宅に太陽光発電とセットで組み込んで売り出していて、そのおかげもあって急速に普及しているようです。

自動車や住居用の中型の蓄電池需要が伸びている一方、それ以上の大きさ(容量)の蓄電池はこれからというところです。企業などで使うには、従来の蓄電池では容量が不足でした。
しかし、これも太陽光発電が契機になって、変わりそうです。
最近の「電力会社が太陽光で発電された電気を送電網に接続することを保留する」というニュースはまだ耳新しいことです。これも太陽光発電の不安定性によるものですが、発電事業者が大容量の蓄電池を設備して、出力調整を行えば送電網の電力は安定化します。

こういった使い方に適応する大型の蓄電池は、従来のリチウムイオン電池をもっと大きく組み合わせたものや、ニッケルとナトリウムを使ったもの、パナジウムを使ったもの等が次々と登場しています。

住宅の蓄電池、工場や事業所の蓄電池がそれぞれ単独にではなく、複数の蓄電池を結んで、送電網と繋げて連携し、電力需要の動向に応じて、蓄電と放電を細かく調整すれば、電力消費の節約や平準化に多くの効果が期待できそうです。

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